種を蒔くのは簡単だ。用土を用意して、養分を与え、種を適当な間隔を置きながら蒔けば良い。でも育てるのは大変だ。近隣から雑草が飛んでくる。土の下にも杉菜が蔓延る。それらを遠ざけながら、芽が出るのを待つ。芽が出たら、もっと大変だ。近しい芽が互いに養分を奪い合ってしまうので、適当に間引く必要がある。
野菜を育てることは、発芽率との戦い、成長率との戦いだ。芽が出るのが第一歩。成長させるのが第二歩。そして成長した植物の中から一番よいものを残して、あとは間引くのが第三歩。勿体なくても、苗を間引いたり、葉や茎を間引いたり、花を間引いたり、実を間引いたりする。それが、美味しい物に繋がる。
このことは仕事にも通じる。種を蒔かなければ、成果は出ない。でも蒔いた種が全て、成果に繋がる訳ではない。だから結構な数の種を蒔く必要がある。そうするうちに、よい種の蒔き方や、発芽した芽のうちの性質のよいものの残し方を覚えていく。
行き当たりばったりではないのだ。でも発芽率、成長率、与えた養分での美味しい実の数の限界などがある。だから種は蒔きつつ、筋のよい苗の成長を見守りつつ、たまに間引いておいて、よさそうな実をより美味しく育ててから収穫する。
- まず種を蒔く
- 芽が出たら育ててみる
- 別の種を蒔くか、その芽を愛でるか、分岐してもいいし、一方を選んでもいい
- 実が成ったら収穫するし、実が成らなければまた別の種を蒔いたり、別の芽を愛でていい
これの繰り返し。でも、芽がでる確率を上げるように努めたり、出た芽をよりよく育てるように努めたり、途中のプロセスも努力が必要だ。
畑は実に奥深い。