私はプレゼンの機会を与えられると、暫くは表面上の目的を設定したままにしてしまう癖がある。報告しろと言われたら、はい、報告します、と言った風に。これは、プレゼンの本当の目的ではない。
プレゼンの目的は、誰に何をして欲しいか、である。プレゼンと言う行為は、何かを伝えること。相手が伝えてほしいから、時間と場所を確保した上で呼ばれる。或いはこちらが何かを伝えたいから、お願いして時間と場所を確保して貰う。話す方と聞く方のいずれがより積極的かは、場合によるが、プレゼンの結果、双方が何らかの合意に達するか、或いは聴衆が何らかの判断や評価、意思決定を下す。そこを目的に据えないと、形式的なプレゼンを用意して、行ってしまう。
限られた時間の中で、最大限のこ効果を得るようなプレゼンとは何か、を突き詰めて考えてやっと、プレゼンの構成が浮かび始める。情報量過多は、詳細が伝わらない。情報量不足は、誠実でないと取られかねない。少ない枚数に十分な情報量を理路整然と並べると格好いい。忙しく入れ替わりしないスクリーンを見ながら、落ち着いて話を聞けると、好印象を与える。
そして構成を考えるためには、やはり中身が必要、となる。そのためには何を用意すれば良いか。
このように、ゴールから考え始めて上流に遡るように、全体のプロセスを考えることが、プレゼンでは必要だ。
プレゼンの会場に入って、どうも聴衆が想定したのとは違う意識で着席していると感じたら、話の構成を変えた方が良いこともある。プレゼンの目的は相手の説得にある。用意したシナリオ通りに説得すれば応じて貰えるとは限らないことを、誰もが知っているはずだ。だから、プレゼンのマインドセットの中心には、誰をどう説得して何をしてもらうか、を据えることになる。